占星術を勉強している人ならば、必ずどこかで耳にする「ライオンゲート」。
ライオンゲートという、そのようなゲートの根拠はどこにあるのか占星術上の観点から少し考えてみました。
巷で言われているライオンゲートとは?
地球と霊界を結ぶ扉だそうで運命を切り開く最大のチャンスと呼ばれているらしいです。
その扉はライオンゲートと言われ、その期間にだけ扉が開いていて、それ以外の時は扉は閉まっているとのこと。
シリウスとオリオン座の三ツ星(デルタ、イプシロン、ジータ)が一列になるとのことです。
占星術で考えられる観点
ライオンゲートに象徴されてくる言葉を占星術上でも考えられるものがあるか、いくつか挙げてみます。
Ⓐ恒星であるシリウスの作用
Ⓑライオンゲートのライオンは獅子座に該当するか
Ⓒ占星術でゲートや扉を意味するものがあるか
Ⓐのシリウスの観点です。占星術上で恒星について考えることは有効です。ただし、恒星の作用について、太陽のようにはっきりと認識できるかどうかは少し疑問です。
ライオンゲートと呼ばれる期間に近づくと「ライオンゲートの影響」「シリウスの影響が強いです」という話になる場合、シリウスの作用を認識できる人はそれほど多くないと思うので
本当にライオンゲートと呼ばれるものの影響なのかシリウスの影響なのか、まず考える観点がでてきます。
なぜなら、そのいわゆるライオンゲートと呼ばれる期間は、シリウスというよりトランジットや月相時のチャートの配置作用というのも考えられるからです。
ライオンゲートと呼ばれるものはどこに起因しているのか遡ってみます。
古代エジプトにさかのぼると
古代エジプトではナイル川の氾濫によって肥大な土壌と豊作をもたらされたそうです。
その氾濫には規則性があり、毎年夏(夏至あたり)に起こるというものでした。
氾濫によって広大な土壌と豊作がもたらされ、川の氾濫の予見にシリウスが関わります。
その予見は夏に太陽の日の出前にシリウスが東から上昇するというヒライアカルライジングから成されていたようです。
太陽に伴って天体が日の出のタイミングの直前に地平線から上ることをヒライアカルライジングといいます。
ヒライアカルライジングはシリウスだけに見られるものではありませんが、古代エジプトではナイル川の氾濫の予見としてシリウスが特に重要視されてきたということです。
このシリウスのヒライアカルライジングの観測によって、太陽の周期が365日ではなく、365.242…..と判明し、さらに時代を経ながら、うるう年の挿入というところまでつながっていきます。
毎年夏季にナイルの氾濫が起きていたことは、シリウスのヒライアカルライジングの規則性というよりも、毎年5月から8月に発生するモンスーンの影響だと考えられています。
占星術で考えられるシリウスの意味
占星術では恒星シリウスは、個人や社会に与える影響の一例として、集団性に影響を与えるということや犠牲ということが象徴されています。
また、栄誉や富、信仰という意味もあれば、憤慨やそれ以外の意味もでてきます。
天文学上ではシリウスはおおいぬ座ですが、占星術上(地球を中心にした場合)だと2021年夏の時点で蟹座14.22度です。
14度の度数は閉鎖性や具現化を意味してくるので、むしろ物質的です。15度は限界地点や押しつけです。蟹座なので集団や共同体においてです。
ライオンゲートが霊界とつながる高尚なゲートだという説を考えると、もう少しシリウスに精神的度数が関与してきてもいいように思うのと
なによりも共同体への働きがけや情緒、共感が押しつけであることを象徴しているというのが気になります。
太陽も物質的、シリウスも物質的な意味あいが強いとなるとシリウスに物質の関与があまりにも高すぎるようにも思えます。
また、蟹座の支配星である月は確かに天と地上を結ぶ中継ではありますが、精神性ということで考えると上位とはなりません。
また、シリウスには人間の欲が関わります。なのに高尚か?と少し疑問ではありますが、シリウスとシリウス近くの蟹座15.14に恒星カノープスがあり、シリウス同様、カノープスにも木星が関連します。
木星以外だとシリウスは火星、カノープスには土星が関連してきます。
カノープスは教育の仕事に関わる象意や旅を通してどこかに運ばれるものの、表だけではなく裏にも運ばれる可能性があります。
シリウスに限らずで、どんなものでも意味を抜き取って誰かが神聖化したら何でも言えてしまうし、なんでも神格化するような気がします。
占星術で扉の象意が考えられるとしたら、周期なら春分、夏至、秋分、冬至、それ以外ならドラゴンヘッド、ドラゴンテール、カスプも入口と考えたら該当するかもしれません。
アセンダントを日の出の獅子座に合わせる話だろうかと考えてみたのですが、ライオンゲートは一説では獅子座の15度だという説もあります。(固定サインの15度だから)
しかし、獅子座の15度は獅子座の自己主張の押しつけだったり、お祭りのように派手に振る舞うピークのような度数です。
ある意味、この獅子座15度がライオンゲートと騒ぎたてるところにとても近いようにも思います。
獅子座16度はこれまでの獅子座の信念が崩壊する度数です。16度は破壊要素があります。
また、獅子座の啓示は15度ではなく26度です。
占星術で仮説を立ててみる
ライオンゲートとされる今の論を占星術で考えていくとどういう話になるかという仮説をたててみます。
あくまでも例えばの話で極論で考えてみます。例えば、獅子座の15度が毎年ライオンゲートだとします。
占星術に置き換えるとライオンゲートは獅子座を扉にしていて開閉があり、かなり重要だとされているので
毎年、獅子座太陽が15度になるチャートを作成し、次のライオンゲートまでの1年有効となるのか
それとも扉が閉まるまでの有効のチャートなのかという話になります。扉が閉まるというのもいまいちよくわかりません。
ライオンゲートと言われる話は、毎年、夏至と秋分の間にライオンゲート(獅子座)獅子座15度が入ってくるということになります。なぜか?は分かりません。
獅子座は不動、ハウスだと5ハウスです。もともとはアンギュラーでもありません。アセンダントにしたらアンギュラーになります。
そして、チャートを作ったとしても、そのチャートにどんな意味があるのか、ライオンゲートには目的の説明がつきません。
夏至なら太陽が蟹座0度で、周期の育ちを意味するといったようにです。
もしも、シリウスの意味(象徴)を目的にした場合、他の恒星にだって、同じように、天文の周期にしたがって、それらの目的が出てくるという話になります。
扉や周期は規則で決められているわけではないので、ライオンゲートに関わらず
今後もあらゆる論やゲートと呼ばれるものがでてきてもおかしくないようにも思います。
ありとあらゆるものが神格化され、海王星が牡羊座に移ったらさらに色々な話は増えるかもしれません。
ヒライアカルライジングとライオンゲート
シリウスのヒライアカルライジングは日本では夏季に起こります。
ライオンゲートというものが神聖化されているのかもしれませんが、私は現実的な水星をもってしまっているがために、ライオンゲートと呼ばれるものを信仰していないのでよくわかりません。
他者が云々述べる神々よりも自分自身の中のものを信じてみてはどうでしょうか。
人によって何を信仰するかは思想の領域なのでライオンゲートは思想の信仰の一種として考えられるもののように思います。
ちなみにシリウスには信仰という意味があります。個々の信仰対象は違うと思いますので、信仰は、あくまでもその人の宗教観(宗教)であって、誰にでも共通するものではありません。
※信心という意味がある恒星もありますが信心と信仰は異なります。
何年も前から思っていたのですがライオンゲートについて、ただ誰かが言っている言葉を真似て
そのまま使っている人たちがとても多く増えているのではないかということです。
恒星シリウスが関わることについては、必ずしも良い現象が起きているとは言い難いことも多々あるようです。
肯定的側面で美しくとらえられるものが、現実だと意味が逆転してくる時があるので、シリウスの意味を現実の中でもう少し冷静に考えてみてはどうでしょうか。
また、最初に言いましたとおり、シリウス作用は認識できるかどうかについては、感知するのはかなり難しいものではないかと思います。
占星術で考えるなら、シリウスの直接的な影響(ライオンゲートの影響)というよりも、月相やトランジットがまず先に強く関与している可能性が高いとも考えられます。
ちなみに2021年はライオンゲートと呼ばれる期間と獅子座新月が重なっていました。
2021年の獅子座新月の配置は、新月の象徴として、もちろん始まりというものを象徴してきますが、運命を切り開く最大のチャンスということが起こりえるという所感はあまりありません。
切り開かれるというよりも、気が緩んだり、やる気が削がれていく流れにつながっていくというものが強調されていたように思います。
もし「ライオンゲート」という言葉を毎年信仰している場合は、その年のライオンゲートと言われている日をまず振りかえり
本当に運命を切り開く、扉が開くようなチャンスの出来事や現象はその時、自分に起きていたか?しかも毎年という過去視点から考えてみてはどうでしょうか。
※例えば、木星は期間限定で作用しているわけではないのに、木星の力が強くなるといった期間を天文現象と絡めて限定し
それを開閉扉として「ジュピターゲート」だと言われたら、ゲートがあり、そこが重要だ、そこが発展が関わると思い込むのと同じことではないでしょうか。
私も一応、ライオンゲートという言葉を聞いた際は、その近辺の日々を振り返って考えてみるのですが、ライオンゲートという話よりも月相やアスペクト(トランジット)のほうが、まず作用していると思います。
過去視点で考えてみると、あくまでもベースは月相であって、その中でシリウス作用が無意識的に入ってくるとか
月相配置に基づいての作用がシリウスでも出てくるとなると思うので、だから毎年、現象が違うとなります。
シリウスの影響がまったくないとも言えません。けれど、シリウスの影響が感知しやすいとは言い難いので判断に至る材料があまりありません。
シリウスの象意が火星(or木星)に似ているからです。
※私としては木星に似た象意として年柄年中頻繁に作用するというよりも火星に似た象意で出てくるときのほうが多いのではとも思いますが、追わないと分かりません。
例えば、怒る現象が出てきたときに、火星の怒りなのか、シリウスの憤慨なのか、どちらからも考えられ混在してくると思うので判断は難しいというような具合です。
それがライオンゲートと呼ばれる時に起これば、ライオンゲートの影響だ、シリウスだと単純に思い込んでいくので、言葉で刷り込まれていくというのは、そういうことではないかと思います。
それはシリウスに限った話ではないと思います。
毎年、お祭りのように騒がれる「ライオンゲート」。
ライオンゲートと呼ばれるタイミングで流れが作られる、起こるというよりも、月相に従って流れが作られ完結します。
ライオンゲートと呼ばれるものは「経過」のいち地点の話なので、そこにとらわれすぎていると、実際的なタイミング(月相や個人チャート)を逃すかもしれませんよ。
また、恒星を主体にしている話なので、どの恒星を主体にして考えているかで、話が全然変わってくると思います。
シリウスは他の恒星やロイヤルスター同様、基盤の知識が入ってから考えていくといいのではないでしょうか。
全ての恒星を考えていくというのは恒星の量が多くて難しいので、例えば、チャート上で他天体との関わりあいが強調されてくる恒星があるのであれば、まずはそこから考えてみるなどです。
そのかわり、恒星を考えたら、全体にしっかり戻る必要があると思います。(木をみて森を見ずになるため)
※ちなみに、ロイヤルスターもロイヤルスターだからいいとはならないところが天文とは違う占星術における星の意味の厳しさだったりもします
占星術で恒星シリウスを分析するには
毎年、ライオンゲートと呼ばれる扉は、どういうものかというのは抽象的であり規則性の現象がありません。
もし、獅子座に扉という意味が出てくるのなら、アセンダント(アングル)に来たときやノード、カスプに獅子座が関わるときかなとは考えられますが、それだと獅子座だけではなくどの星座でもなんでもありの話になってくると思います。
周期(春分~冬至)になってくると、獅子座は全体から考えた周期には該当してきません。
ライオンゲートと呼ばれる話はシリウスへの観点が限定されている話だと思うので
具体的に考えてみたい時はパラン計算一覧を出力し、自分のチャートに恒星がどの周期と関わっているのかという観点から考えるという方法や
基本どおりにNチャート上での恒星位置とトランジットが関わっているかなどを占星術の観点から自分で考えてみるなども、もちろん有効だと思います。
現象化によっては人間でも認識できる可能性があるのではないでしょうか。
パラン計算一覧はアストロディーンストの特殊チャートから出力可能です。
占星術においては恒星が作用起因しているという明確な根拠は、太陽以外の恒星作用を実感しずらいという観点から考えてもシリウスの単独影響は断言しがたいものがあります。
※逆行すらも感知しずらい人たちが多いのに、大勢の人たちがライオンゲートの影響だと分かるのかなと疑問に思います。
もちろん、占星術上においての恒星シリウスについては総合的視点で考えてみることはできると思います。
日本での原爆投下時は、シリウスからの観点もあるようですが、古代エジプトでは毎年、川の氾濫の予見として根拠が繰りかえされていたとするならば
日本では原爆投下影響という根拠はあったとしてもシリウスには規則性のある現象の根拠がないととれます。
毎年言われるライオンゲートと呼ばれるものは、天文現象と関連づけたシリウスへの一方向の観点だと思います。
言葉で刷り込まれた人たちが多いので(私もこの記事を書いてかなり刷り込まれました)、その期間に起こることがライオンゲートの影響だという風潮にもなっていくかもしれません。
多くの人達がライオンゲートという言葉に誘導され、言葉によって勝手に刷り込まれ、集団としてそう思い込まされていくわけなので、ある意味、怖いことだと私は思いますけどね。
恒星について考えてみるというのはいいと思いますが、恒星はシリウスだけではありませんし
視点を変えれば、ライオンじゃなくても他のゲートの話も人間側でどうにでも作れてしまうのではないかと思います。
ちなみに、原爆投下時のエリスは広島で7ハウス、長崎で6ハウスです。それ以外にも象意が厳しいハードアスペクトが多々あります。
まとめ
毎年、夏季になるとお祭りのように騒がれる「ライオンゲート」は、シリウスのヒライアカルライジングとの関連を指していると考えることができます。
日本ではシリウスに対しての規則性のある出来事の現象はありません。
毎年の夏に、ゲートが開かれるとか、ゲートが開かれる準備をしよう、運命が切り開かれる、神との関連などの文言については
あくまでも、1つの思想の信仰の領域のようにも思えます。
ライオンゲートという誰かが言った言葉を借りては、その信仰が拡がりを見せて、また人は同じ言葉を同じように真似ていくというところが、今のライオンゲートの盛り上がり方のようにも思います。
恒星はシリウスだけではありません。
■占星術ではライオンゲートと呼ばれるものが何なのか説明できる目的や根拠が見当たらない
■もしもシリウスが関わる出来事があるとするなら、ヒライアカルライジングで云々というよりも月相の周期やアスペクト、Nチャート、他チャート、パラン一覧に基づいてくる可能性が高い
■あくまでも私の個人的意見にすぎないがシリウスは出来事にあまり関与してきてほしくないよなと思う点も顕著であり、思想の領域ではなく現実的に要注意だという点は否めない
現在、海王星は魚座です。魚座海王星期は、ありとあらゆる様々なスピリチュアルの観点が世にでている中で
精神性や自ら信仰するスピリチュアルというものを自分自身の経験から総まとめしていく期間に該当します。
思想の信仰と占星術上の根拠は別物ですから、あとは何を信仰するかしないかの話だと思います。
これまでの経過を通し、私も本当に様々な思想に巻き込まれてきたから言えることですが、誰かの思想に巻き込まれるときや占いを妄信しすぎている時は
自分自身のことを忘れてしまっていたり、自分を見失っている時に思想に巻き込まれやすいです。
ちなみにですが、占星術の根拠を学習している人の中にも「ライオンゲート」という言葉に懐疑的な人もいると思いますし
占星術家だからライオンゲートと呼ばれるものを全員信仰しているとはなりません。
信仰は人それぞれの宗教観なわけで、みんなに共通する価値観ではないので、「ライオンゲート」という言葉を私は採用しておりません。
シリウスの作用というのを扉が閉まるという解釈で限定されているというのが、作用としては到底考えられないというか考えずらい話ですし、作用しているのなら常時だと思います。
根拠やシリウスの象徴を考えていくと、ライオンゲートと呼ばれるものが何か?矛盾の解決ができないことと
規則性ある現象が日本で確認がとれないこと、そして、占星術ではシリウスが夏季に巷で騒がれるようなロマンだけを象徴をしているとはいい難く、あくまでも、もっと冷静に考えていく必要のある恒星だと思います。
※ちなみに、天文はロマンの話がとても多いですが、占星術は陰陽の象意があり厳しい解釈やそこに該当する現実も出てくるため思想やロマンとはかけ離れた星の意味や作用は多々あります。
※月星座が流行り、月が若干勘違いされていったのと少し似ている感じもします。
※シリウスには夏にヒライアカルライジングがあるという天文現象を知り、思想で神格化しないほうが、よっぽど実際的で事実であるように思います。真実は空想の世界ではなく現実が真実です。
※実際性と現実の観点(現実主義)でしか考えていかないので、思想領域を知りたい、空想の話が好きだという場合は私の講座はまず向かないため、他の先生の講座のご受講をお願い申し上げます。
※本記事は観点が甘い部分や知識が不足している点等も多々あると思いますため、予めご了承願います